協会誌「大地」No49

(株)ダイヤコンサルタント東北支社 秋山 純一

(株)ダイヤコンサルタント東北支社 秋山 純一

-「地質調査要領」を紐解く- 第3編盛土構造物の地質調査

高速道路、鉄道、堤防、住宅造成地など私たちの生活はずいぶんと盛土のお世話になっているわけであるが、盛土構造物を造ることは、「土を盛る」という比較的簡単な工事の割に困難なことが多い。これは盛土が採用される場所は比較的低い場所であり、いわゆる低地には軟弱地盤が分布していることが多いからである。

ここでは、前回の第2 編切土構造物にひきつづき、( 社) 全国地質調査業協会連合会編集「地質調査要領」(2003 年、財団法人経済調査会発行)から盛土構造物の地質調査の目的、調査計画、調査結果に基づく検討について紹介する。

1. 調査の目的

一口に盛土といっても種類や目的、機能にはさまざまな要求条件がある。これらを考慮して盛土を分類してまとめたものが表1-1 および図1-1 である。

表1-1 盛土の種類と機能2)

種類 主な役割 所要条件
道路盛土 交通過重の支持
  1. 十分な支持力
  2. 沈下量、不同沈下が少ないこと
  3. 法面の安定
鉄道盛土
造成地盛土 建物、施設の支持
河川堤防 止水
水防
貯水
  1. 漏水がないこと
  2. 法面の安定
  3. 沈下がないこと
護岸堤防
調整池
フィルダム

(土質工学会編、盛土の調査・設計から施工まで、より抜粋)

図

図1-1 盛土の種類2)

表1-1 に示した所要条件から、盛土構造物の調査では、盛土そのものの検討のほか、地盤の破壊、変形に関する検討が必要で、地形および基礎となる地盤情報を十分に把握することが必要となる。

(1) 調査の着目点

調査における着目点を施工場所、盛土構造、盛土材料に分けて表1-2 に示す。

表1-2 盛土調査の着目点

区分 特徴 着目点
施工場所 (1)低平地:軟弱地盤が連続することが多い 沖積地の規模、微地形
(2)山間部:盛土地間が地すべり地域とか斜面上になることが多い 地すべり地形の分布、崖錐の分布・規模、地形と盛土構造の関係
盛土構造※ (1)高盛土:軟弱地盤上の圧密沈下等に起因して盛土完了後長期間沈下が継続することがある 盛土に伴う安定・沈下、
盛土近傍の引込み沈下、
地盤の連続性
(2)低盛土:軟弱地盤上で高さ約2m以下の場合は盛土の自重より諸施設の荷重や交通荷重の影響が大きくなる、供用後の不同沈下や変形が大きくなることがある 盛土による安定・沈下、
交通過重に対する沈下検討、
構造物区間と周辺部との不同沈下・経時変化、
盛土自体の舗装構造に対する検討
盛土材料
  1. 盛土材料としての材質の適否
  2. 堀削の難易度
  3. 土と岩の分類
  4. 盛土の安定性・施工性

※ 盛土高さ3 m以上を高盛土、3 m未満を低盛土

高盛土の場合、沈下量が過大な時は、擁壁やカルバートなどの構造物や周辺の地盤・諸施設まで被害を及ぼすこともある。また盛土の完成後長期にわたり沈下が続く時は、盛土面の平坦性・排水性などが良好に維持できず、構造物と盛土の間に不同沈下が生じ盛土構造物の機能を低下させることがある。

施工管理の際には、道路盛土・造成盛土ともに締め固め特性などを把握しておく必要がある。

(2) 求めるべき地盤情報・土質定数

以下に示す地盤構成と地盤の工学的性質を把握することが必要である。

a) 地盤構成を把握するための着目点

  1. 盛土基礎地盤の土質・地質構成
  2. 層厚の変化
  3. 支持層の分布状況(深さ・起伏)

b) 地盤の工学的性質

  1. 物理特性(粒度・含水比・コンシステンシー・密度・間隙比など)
  2. 強度特性(N 値・粘着力・せん断抵抗角など)
  3. 圧密特性(圧密排水層の設定・圧密降伏応力・圧縮指数・圧密係数など)
  4. 変形特性(変形係数など)
  5. 液状化に対する抵抗力(緩い砂質土の分布・地下水位・N 値・粒度特性など)
  6. 盛土材料(土取場調査)
    〈参考:圧密排水層の評価9)

圧密排水層として有効な地層は、東名高速道路厚木試験盛土(陸生粘土地盤)の事例では、厚さ5 p以上で、透水係数が1 × 10 -4p/s以上といわれている。

(3) 留意すべき地盤

表1-3 に示すような地盤および近接施工となる盛土においては、地盤条件・施工条件にあった調査を行わなければならない3)

表1-3 留意すべき地盤

a) 軟弱地盤
i 盛土構造物に対して、施工時の安定性、沈下および周辺地盤への影響の検討が必要となる。
長期間にわたる沈下影響も考慮した設計・施工を行うために必要な資料を得る。
ii 概略調査として、既存の工事例や地質調査例を収集し、地盤状況、安定・沈下の目安となる情報を得ておく。
iii 次のような地盤条件の場合に安定および沈下に関する問題が発生しやすいので、調査の実施にあたっては留意が必要である。
  1. 谷部など軟弱地盤の厚さが著しく変化していることが予想される場合
  2. 排水層の層厚が薄く地層の連続性に乏しい場合
  3. 極めて軟弱な高有機質土が厚く分布する場合
b) 耐震上問題となる地盤
i 地表付近に飽和した緩い地層が分布する場合は、地震時に液状化を起こす可能性がある。一般的には過去の経験から標準方面勾配の範囲で対処できると考えてよい。
ii 万一破損すると隣接物に損害を与える場合(鉄道、パイプラインなど)や復旧に長時間を要するうような場合は、慎重な検討が必要である。
iii 地震時の盛土の安定解析は現時点では、地盤工学上未解決な点が多いため、検討は慎重に行う。地震時の検討は次のものを参考にするとよい。
  1. (社)日本道路協会:液状化の簡易判定、道路橋示方書(V耐震設計編)・同解説
  2. (社)日本道路協会:盛土の地震時安定解析、道路土工軟弱地盤対策工指針
iv 液状化の対策地盤は、緩い砂質土が分布する地盤、特に軟弱な粘性土地盤が液状化対象層とされている4)
  1. 沖積層の飽和砂質土層
  2. 地下水位が現盤面から10m以上にあり、かつ20m以内の深さに存在する飽和砂質土層(20m以深の地層は液状化しても被害は少ないだろうという考えから)
  3. 細粉分含有率35%以下の土層、35%を超えても塑性指数Ipが15以下の土層
  4. 平均粒径D50が10mm以下の土層
  5. 低いN値を示したり、続成作用を喪失した洪積層
c) 接近施工
盛土施工に伴って近接施工に変状を与える場合がある。この場合、周辺地盤への影響を事前に予測し、適切な対策を講じる必要がある。周辺地盤の変形予測手法として有限要素法(FEM)による解析が良く用いられる。FEM解析に必要なパラメーター(変形係数、強度定数など)を得るための調査を計画しておくことが必要となる。
d) 地すべりの地の盛土
均衡を保持している地盤に盛土することにより荷重のアンバランスが生じたり、地下水流を防げることによる間隙水圧の上昇により、地すべりを不安定にする場合があるため、地すべりについての検討が必要になる。
e) 斜面上の盛土
表層部の風化が激しい急斜面、地盤内に滑りやすい土層を狭在する斜面、崖錐上の盛土など滑りやすい斜面での盛土については、安定検討が必要となる。
f) 地山から湧水のある地盤
地山からの湧水により盛土内の水位が上昇し、不安定になることがあるため、湧水の有無および湧水量の調査を実施する。

(4) 盛土施工に伴う環境への配慮事項

a) 施工に伴う環境影響評価のポイント5)

可能な範囲で環境への影響を回避または低減するため、以下の保全対策を検討する。

i) 盛土の安定性への影響評価

  1. 盛土材料や盛土高の配慮による法面の安定性への確保
  2. 必要に応じて適切な法面保護工による安定性の確保

ii) 盛土の安定性への影響評価

  1. 地山の土質、盛土材料や盛土高の配慮による法面の安定性の確保
    • 予測地域:土工工事箇所周辺
    • 予測時期:工事期間のうち土工工事が実施される時期
    • 予測方法:土地の安定性への影響回避または低減対策、配慮事項を明らかにすることにより予測
  2. 土砂流出の発生回避または低減対策
    • 法面の裸地部分の防水シートによる被覆(降雨時)
    • 土砂流出防止工の実施
    • 土砂流出防止工の実施
  3. 盛土に対する法面勾配の配慮
  4. 必要に応じて法面保護工による安定性の確保
  5. 法面下端や法面を流下する地表水の排水

b) 引込み沈下

  1. 過大な沈下や長期にわたる圧密沈下により盛土の変形・破壊、構造物取り付け部での不陸の発生および周辺既設構造物への引込み沈下などの影響検討
  2. 近傍構造物が杭基礎の場合は圧密沈下に伴って杭に作用するネガティブフリクションの検討

c) 地下水

  1. 盛土の安定に影響を及ぼす地下水の分布状況( 地下水位の変化、流向・流速の変化、透水・湧水の有無) の把握

d) 建設副産物、各種廃棄物のリサイクル

  1. 建設工事に関わる資材の再資源化
  2. 建設工事に伴う廃棄物の減量化
  3. 適正処理の計画的推進に向けた整備

2.調査計画

(1) 調査すべき項目と調査手法

a) 調査項目

調査項目は工事の設計施工に必要な土質・地質に関する情報を取得するために行うものであるから、盛土構造物の調査項目は、表2-1 に示すとおりである。同表には、設計・施工の検討に必要な主なデータを示した。これらのデータを得るための適切な調査手法を選定することが必要である。

表2-1 盛土構造物の調査項目と要点

盛土形式 貯水不要 貯水目的
構造物例 道路の路体
構造敷地
河川堤防
土堤防
調査目的(問題点) 盛土材料の性質
すべり破壊
圧密沈下
地震時の液状化
不同沈下
同左と透水性
すべり破壊
圧密沈下
地震時の液状化
漏水、パイピング
必要な主なデータ 盛土材の物理特性と力学強度
単位体積重量
N値
圧密定数
盛土材の物理特性と力学強度
単位体積重量
N値
圧密定数
透水係数

b) 調査地点の選定

調査地点の選定は、地形、基礎地盤の連続性、盛土高、盛土区間における構造物の種類・規模を考慮し、地盤が均一で連続性の良い場合には調査間隔を粗く、地盤が複雑で不連続の場合には密に選定する。狭い谷や片切・片盛の地点、基礎が軟弱地盤あるいは崖錐のような崩積地盤では、地層の連続性を調査するために調査地点を密に選定するとともに、横断方向にも調査地点を選定するのがよい。調査地点選定の代表例を図2-1 および表2-2に示す。

図

図2-1 軟弱地盤と調査の考え方1)

表2-2 調査頻度6)(調査地点の選定間隔)

頻度 地形等区分 調査ボーリングの頻度
(地点間隔)
平均的調査頻度 平均部の一般盛土で土層変化少 1km以内ごとに数箇所
軟弱地盤分布地域 500m以内ごとに数箇所
主要横断構造物との兼用を図る
軟弱層の層相変化が大きい 200m以内ごとに数箇所
山ろく部、山間部 地形区分ごとに数箇所
山服斜面、地すべり地形、崩壊地形 別途、専門家の検討により計画
調査深度 ※既存調査があればその結果に判断を加える
※盛土高さをH,,盛土底面積をLとすると、2HまたはL/4(一般的に約10m)
※ただし厚い軟弱層では、計画深度に到達しても軟弱層の下端までは調査を実施する。

c) 地形地質調査

地形地質調査は地質調査の基本となるもので、全ての調査に先行して実施する。調査を適切かつ経済的に実施するため、地形・地質の問題点や設計・施工上の留意点が抽出できるような情報を得る必要がある。このためには、計画ルート外にも調査範囲を広げる必要がある場合が多いので、調査範囲の設定に柔軟性を持たせることが大切である。

d) ボーリング

ボーリングはノンコアボーリングを原則とするが、地すべり地・崩壊地および固結度の高い地盤などを対象とする場合はオールコアボーリングとする。ボーリングの孔径は、試料採取・原位置試験・物理検層などの計画を考慮して決定する。これらの作業に支障をきたさないように、孔底のスライム排除や孔壁の保持を確実に行う必要がある。

e) サウンディング

ノンコアボーリングでは、原則として深度1 mごとに標準貫入試験を実施する。その他のサウンディングには、スウェーデン式サウンディング試験・ポータブルコーン貫入試験・電気式(多成分)コーン貫入試験などの静的コーン貫入試験、簡易動的貫入試験・オートマチックラムサウンディング試験などの動的コーン貫入試験などがある。調査の実施に当たっては、それぞれのサウンディングの貫入能力や特徴を理解し、適切なものを選定する必要がある。調査におけるサウンディングの適用を、表2-3に示す。

これらのサウンディングが適用可能な地盤においては、ボーリング地点間を補足してサウンディングを実施する。サウンディングは、軟弱層厚や地盤の硬軟を多地点について短期間に調べるのに適しており、特に地形変化の激しいところや軟弱層厚が大きく変化するところでは有効である。

表2-3 調査におけるサウンディングの適用3)

地盤 適したサウンディング 備考
未知の地盤 標準貫入試験 地質と概略の強さが同時に分かる。探査能力大で最初の調査手段として最適。
砂、礫が主体となる地盤
(N値に関係なく)
  1. 標準貫入試験
  2. 大型動的コーン賞入試験
ボーリングを併用しない単管サウンディングでは周面摩擦で能力低下する。
  1. オートマチックラムサウンディング試験
  2. スウェーデン式サウンディング試験
中以上の強さの砂、シルト互層および粘土地盤
(4<N<30)
  1. 標準貫入試験、大型動的コーン貫入試験
  2. 中型動的貫入試験
深査深度が大なる場合は1、小さい場合は2で可。
  1. オランダ式二重管コーン貫入試験、スウェーンデン式サウンディング試験
  2. 電気式静的コーン貫入試験
近年では、電気式静的コーン貫入試験の適用が多い。
中以上の強さの軟弱なシルト、粘土地盤(2<N<4) 中型動的貫入試験 検査深度が大の場合は1、小さな場合は2で可。単管サウンディングは周面摩擦が問題。
  1. スウェーデン式サウンディング試験
  2. ポータブルコーン貫入試験、原位置ベーンせん断試験
極めて軟弱な粘土、シルト、ビートからなる地盤(N<2)
  1. オランダ式二重管コーン試験、ポータブルコーン貫入試験、電気式静的コーン貫入試験
  2. 原位置ベーンせん断試験
静的試験法でも小型なものが使用できる範囲、ロッド自重と周面摩擦を共に修正することが必要。

f) 試料採取

支持力あるいは沈下の検討を必要とする場合には、土質試験用の乱さない試料を採取する。乱さない試料の採取に当たっては、対象とする地層の土質や地質・硬さに応じて適切なサンプラーを用いなければならない。

表2-4 土質試験項目及び頻度6)

試験項目 試験頻度第一次詳細調査 試験頻度第二次詳細調査
土粒子の密度試験 1シリーズ/1試料/3m、または、
1シリーズ/各層
1シリーズ/1試料/3m、または、
1シリーズ/各層
含水比試験 1〜2シリーズ/1試料/3m、または、
搾取した試料全て
1〜2シリーズ/1試料/1〜1.5m
粒度試験
(ふるい分析)
砂、砂質土などに対して
1シリーズ/1試料/3m
砂、砂質土などに対して
1シリーズ/1試料/2m
液性・塑性限界試験 粘性土に対して
1シリーズ/1試料/3m
粘性土に対
して1シリーズ/1試料/1.5m
湿潤密度試験 3シリーズ/1試料/3m 3シリーズ/1試料/1.5m
一軸圧縮試験 3シリーズ/1試料/3m 3シリーズ/1試料/1.5m
三軸圧縮試験 - 必要に応じて実施
1シリーズ/1試料/3m程度
圧密試験 1シリーズ/1試料かつ2試料/各層、最大間隔5m 1シリーズ/1試料かつ2試料/各層、最大間隔5m

料採取については、表2-4 に示した土質試験項目及び頻度を参考に計画すると良い。

g) 物理探査

物理探査の代表的なものに弾性波探査や電気探査がある。通常の盛土地盤に対する調査として実施されることは少ないが、山腹斜面地、地すべり危険地域、ルーズな崖錐地帯での盛土に対して用いられる場合がある。

h) 原位置試験・物理検層

盛土調査に用いられる原位置試験(物理検層を含む)には、孔内水平載荷試験、現場透水試験、間隙水圧測定、PS 検層などがある。各試験によって得られる地盤情報および主な利用目的を、表2-5 に示す。

表2-5 原位置試験によって得られる地盤情報と主な利用目的7)

試験名 得られる地盤情報 主な利用目的
孔内水平載荷試験 変形係数、盤反力係数 基礎地盤の変形解析
現場透水試験 砂質土層の被圧水頭透水係数 盛土の安定解析、
基礎地盤の圧密沈下の解析
間隙水圧測定 粘性土の間隙水圧 同上
PS検層 弾性波(P波・S波)の伝播速度、剛性率 盛土の耐震設計
基礎地盤の変形解析

i) 土質試験

盛土区間の調査で行われる土質試験は、基礎地盤の強度特性、変形特性、圧密特性などを把握するための土質試験と盛土材料に対する土質試験とに分けられる。各種の調査項目に対して必要な土質試験を、表2-6 に示す。盛土構造物の設計や施工に当たっては、適切な試験方法を選択するとともに、試験結果を適正に評価することが重要である。硬質な洪積粘性土はサンプリング時の応力解放や潜在クラックの影響を受けやすいので、一軸圧縮試験よりも三軸圧縮試験を実施するのが望ましい。

表2-6 盛土区間における土質試験の適用7)

図

j) 地下水調査

  1. 地すべりおよび丘陵・山地部
    地質調査要領の3-3 節地すべり調査を参考にして計画する。
  2. 平地部
    地下水位を確認することが主体となる。ボーリングで無水掘りを行い、孔内に最初に滲み出てきた地下水の安定水位で判断する。表層部に難透水性の土層がレンズ状に分布するときなどは、宙水の水位と誤判定しやすいので注意する。

(2) 調査手法の合理的な組合わせによる調査計画の策定

地質調査についても費用対効果を最大限にすることが望まれている。従って、前述した一般的な地質調査方と、表2-3に示したサウンディングとの併用が合理的な調査法といえる。土質試験だけでなく表2-5 に示した原位置試験を適切に採用して、効率的な調査を実施することが望まれる。

特異な地盤が分布する地域では、これらの表に示した調査法に限定されず現場に適合した調査数量を計画することが望まれる。

3.調査結果に基づく検討

(1) 軟弱地盤の解析

a) 地盤の安定に係る検討

定された土質定数、荷重(地震時含む)などの条件に基づき、すべり安定計算(基礎地盤の圧密に伴う強度増加の検討を含む)などを実施して地盤のすべり破壊に対する安全率を算定する。地盤の破壊に係る検討手法は、円弧すべり計算を適用する。盛土の安定解析においては、一般的に複合すべり、FEM 弾性解析を利用した安定解析は通常行わない。

ただし、施工区域が丘陵地から山地に移行することによって、高盛土が施工されるようになり、特に地震時の安定をFEM で検討することが増加している。

b) 地盤の変形に係る検討

設定された土質定数、荷重などの条件に基づき、簡易的手法によって地盤内発生応力を算定し、地盤変形量(側方流動、地盤隆起、仮設構造物の変位など、および既設構造物への影響検討を含む)を算定する。

地盤の変形に係る検討手法は、簡便方(解析理論に基づきモデルを簡素化して一般式を用いた計算)とFEM による詳細法(弾性解析、非線形解析など)がある。

c) 地盤の圧密沈下に係る検討

軟弱地盤上の盛土では、圧密沈下により、図3-1 に示すような障害が発生する8)。従って、適切に設定された土質定数、荷重などの条件に基づき地中鉛直増加応力を算定し、即時沈下量、圧密沈下量(場合によっては二次圧密まで検討する)、各圧密度に対する沈下時間を算定する。

地盤の圧密沈下に係る検討手法は、一次元解析および、断面二次元による有限要素法などによって行う圧密沈下解析がある。

図

図3-1 沈下による盛土への障害8)

d) 地盤の液状化に係る検討

広範囲の砂質地盤を対象に土質定数および地震条件に基づき、液状化強度、地震時せん断応力比から、液状化に対する抵抗率FLを求めて判定を行う。

地盤の液状化に係る検討手法は、簡便法(N値と粒度からFL 法で推計:道路橋示方書・同解説X耐震設計編参考)および、詳細法(液状化試験で得られる液状化強度比と地震応答解析で得られる地震時せん断応力比より推計)がある。

(2) 対策工法の検討

対策工法が必要と判断された場合の工法検討を表3-1に示す

表3-1 対策工法の検討

a) 対策工法の選定
地質条件、施工条件に対して対策工が必要と判断された場合、適用可能な軟弱地盤対策工を抽出し、各工法の特性・経済性などを概略的に比較検討の上、詳細な安定計算などを実施して対策工を選定する。
b) 対策後の状態を想定した地盤の解析
選定された対策工法について、対策範囲および対策後の地盤定数の設定を行った上、軟弱地盤の解析を実施し、現地への適応性の検討(概略的な施工計画の提案を含む)を行う。
C) 最適工法の決定
上記a)で選定した検討対象対策が複数の場合は、経済性・施工性・安定性などの総合比較により最適対策工法を決定する。

参考文献:

  1. 社) 全国地質調査業協会連合会:地質調査手引書、2000
  2. 社) 土質工学会:盛土の調査・設計から施工まで、1990
  3. ( 社) 土質工学会:現場技術者のための土と基礎シリーズ14、土質調査計画、1988
  4. ( 社) 日本道路協会:道路橋示方書(X耐震設計編)・同解説、2002
  5. 愛知万博ホームページ: 2005 年日本国際博覧会に係る環境影響評価準備書要約書 第4 章第10 節地形・地質、2003
  6. 日本道路公団:土質地質調査要領、1992
  7. 阪神高速道路公団:地質調査要領、1994
  8. 近藤正ほか:道路実務講座5 道路土工(U)軟弱地盤処理、山海堂、1984
  9. 稲田倍穂:軟弱地盤における土質工学、鹿島出版会、1981

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