協会誌「大地」No46

(株)復建技術コンサルタント

調査防災部 遠藤和敏

写真

40.おらほの会社 (株)復建技術コンサルタントの巻

「おらほの会社」とのことで、今回は(株)復建技術コンサルタントを紹介させていただきます。

1.沿革とグループ会社

創立は昭和21年6月であり、丁度今年度で60周年を迎えたところです。当初は(社)復興建設技術協会と称され、その東北支部として仙台出張所が開設されたものです。なお、当協会は旧戦災復興院の下に結成され、その他中部、近畿、九州、中国等の各支部が開設されました。また、当協会は戦災で荒廃した国土の復興を目的として設立され、その任に海外帰還建設技術者が当たったそうです。

設立当初は旧国鉄発注の測量業務が主体でしたが、徐々に設計・調査も手掛けるようになり、昭和20年代末に総合コンサルタントとしての歩みが始まったということです。

その後の更なる事業拡大に伴い、各支部は地域別に分離独立することとなりましたが、東北支部は昭和35年に改編され、(株)東北復建事務所として再スタートすることとなりました。この頃になると測量・設計・調査の3業務が拮抗するようになり、本格的な建設コンサルタントとしての体裁が整ったということです。

更に昭和46年には(株)復建技術コンサルタントと改称され、現在に至っております。

なお、現社名は当初の「復興建設技術協会」に由来し、各支部とも「復建」の2文字を冠しております。ちなみに、関東(東京本社)は(株)復建エンジニヤリングと、中部(名古屋本社)は中部復建(株)と、近畿(大阪本社)は中央復建コンサルタンツ(株)と、中国(広島本社)は復建調査設計(株)と、九州(福岡本社)は第一復建(株)と称され、これらはグループ会社として今でも盛んに交流が図られているところです。

2.本社所在地と営業拠点・範囲

本社所在地は仙台市青葉区錦町と称され、宮城県庁、仙台市役所等に隣接しております。当初は同中杉山通りに設立されたのですが、同二本杉通りを経て昭和37年に移設されたものです。

なお、現社屋は平成6年に建て替えられ、装いを新たにしております。

営業拠点としては青森、盛岡(岩手)、秋田、山形、福島等に支店を設けており、東北6県をカバーしております。その他東京にも支店を、札幌、上越(北陸)等には営業所を構えており、北海道、関東以西にまで範囲を拡げております。特に、東京事務所〜支店開設以降は北海道縦貫自動車道、首都高速道路、第二東名高速道路、近畿自動車道等の調査・設計業務を受注しており、着実に広域化・全国化を推進しているところです。

3.業務内容と組織体制

当社の業務内容は取り敢えずは「何でも」ということになっておりますが、当社定款によれば「土木・建築事業に関する建設コンサルタント及び施工管理業務」、「地質、土質、水質及び環境の調査、試験、計測及び解析」、「土木・建築工事の計画、調査、測量、設計、施工業務」その他となっております。

それに取り組む体制として交通・環境部、構造技術部、調査防災部等が組織され、各々その任に当たることになっております。

交通・環境部は員数が45名であり、道路を主対象とした測量・設計や環境に関係した業務に携わっております。構造技術部は員数が50名であり、橋梁や下水道、河川構造物等の設計に携わっております。調査防災部は員数が30名強であり、基礎的な地盤調査とそれに伴う軟弱地盤解析、地すべり解析、更には斜面防災設計等に携わっております。

技術系の職員はその他支店にも配置されており、その員数はトータルで150名を超えております。また、管理部門の充実しているのが当社の特徴でもあり、全職員数は250名に迫っております。

なお、組織体制と各構成員数は年度ごとに変わることが多く、筆者自身も把握し切れていないのが実情です。

また、高度成長期には測量・調査・設計の3部門の鼎立状態が続きましたが、昭和50年代以降は設計部門の強化が図られました。その結果、員数的には設計部門が大半を占め、調査部門は現状維持、測量部門は縮小均衡という図式が定着しているようです。

4.調査部門のあれこれ

地質調査業界誌である「大地」への寄稿ということなので、特に調査部門について取り上げさせていただきます。その中でも、特に人的な面につき記述させていただきます。

前述通り、調査部門の員数は本社が30名強であり、支店分をも含めれば40名程度になります。この員数はここ何十年か大きくは変わらず、増えもせず、減りもせずといったところです。コンスタントに新規採用はするものの、退社、他部門への転出等が重なり、員数的に均衡しているというのが実状です。

ただ、ある時期から退職者が顕在化するようになっているのはちょっと気掛かりですが、この世代は巷でいうロストジェネレーションに相当し、一種の社会現象ということでもう少し客観的な分析を待たざるを得ないのかも知れません。また、中途編入者が多くなっているのも事実であり、MLB並みに出入りや移動が殊更に激しくなっているのではというのが実感です。

年代別に分類した場合、若干いびつな構成になっているようです。具体的には40代が少なく、50歳前後と30代前半が多くなっております。40代が少ないのは昭和50年代半ばの当社不況期に遭遇した為であり、多少は気になるところです。ただ、30代が多いということは今後伸び盛りが働き盛りとなり、強力な布陣に化けるのではと勝手に期待する次第です。

出身地別に分類した場合、あちこちから集まって来ており、結構バラエティーに富んでいるようです。仙台拠点の地方企業にあっては地元出身者が少なく、県内出身者は4割を、仙台出身者は2割を切るような状況になっている程です。逆に言えば県外出身者が多いということであり、その出身地は東北は素より北海道、関東、関西にまで及んでおります。前述通り、当社の営業範囲は東北は素より北海道、関東以西にまで拡がっておりますが、この現状を勘案すれば至極当然な話であると納得する次第です。

血液型別に分類した場合、一部自然界とは異なった現象がみられるようです。

一般的にA型、O型、B型、AB型の比率は4:3:2:1であるとされていますが、当部門では相対的にB型が多く、その分O型が少ないという傾向が見受けられます。ちなみに、ある課では8人中4人がB型であるという時期があった程です。この5割という数値は通常の2.5倍であり、偶然にしては出来過ぎと言わざるを得ません。いずれ、B型にはしっかりした信念の持ち主が多く、業種に対する適性や相性というものがあるのではと感じる次第です。

5.最後に一言

近年、地質調査業界は公共事業縮減の煽りを受け、受注競争が熾烈になっております。

その状態で、仮に受注したとしてもその額は低落化しており、行き届いた成果が期待できないのが実状です。その結果、当然の帰結として業界各社は経営的にシビアな状況に追い遣られることになります。

業界各社が健全な発展を遂げる為には各自の弛みない努力と、お互いの揺るぎない協力が必要になると思います。

当社はこのような厳しい環境にあって共に切磋琢磨し、且つ共に手を携えつつ頑張って参りたいと考えております。地質調査業界の皆さんには今後ともよろしくおつきあいの程、お願いする次第です。

目次へ戻る

Copyright(c)東北地質業協会