19.地質調査技士に合格して


― 調査部門 ―
(有)みちのくボーリング   竹村 金人

竹村 金人

 平成16年度の調査技士受験が決まった。

 ボーリングの仕事に入って9年目、初めての受験、今まで話しには聞いているものの、テキストも見た事がなかった。

 会社の配慮で特別講習セミナーを受ける事になり、5月から7月まで数回の受講をした。受講する前までは、特別講習と言う位だから受ければ受験の時の解答も出てくるものと思っていた。これが大きな間違いだった。最初から問題集を解く事から初まったのだから大変。問題の内容も出てくる機材名も今まで使った事のない物ばかり出て来る。結果ほとんど出来なかった。その後、講師の方から問題の答えが何故そうなるのかを納得するまで叩きこままれた。更に講習を受けるだけでなく、次の講習まで自分の苦手な項目を勉強して来る様に言われたのだが、全部苦手な項目だらけ、毎日テキストと問題集を見る。現場に行っても無理に時間を作ってもらい、テキストと問題集を勉強させてもらう事もありました。

 ただテキストでは勉強出来ない項目がある、それが口答試験。こればっかりはぶっつけ本番で行くしかない。今回合格出来たのも、会社と同僚の協力があればこそと思っております。


― 現場管理部門 ―
大成基礎設計(株)盛岡支社   大橋 玄昌

 資格、資格と叫ばれる世の中。この業界に限られたことではないのですが、本私は、建設コンサルタント業に従事し、現在5年目になります。技術者にとって業務経験を積む事も大切ですが、同時に、資格を取得することも非常に重要な事だと日々感じています。入社以来、よく上司からも「人間は1個の商品である。高く売れるように努力しろ」と言われてきましたが、調査業務に従事し5年が過ぎても資格がなく、肩身の狭い思いでした。

 今回、受験体験記といことで、原稿執筆を依頼されましたが、実は過去に一度、地質調査技士資格試験を受験したことがあります。準備もしないままただ受験し、言うまでもなく悲惨な結果に終わりました。今年は前回の反省も踏まえ、1ヶ月前程から、過去問を数回繰り返し行ないました。また、上司の進めもあり、東北地質調査業協会が主催する、論文の添削指導を受講しました。振り返ると、この添削指導が、追い詰められないと行動に至らない私にとっては、最高の良薬となったと実感しています。この場をお借りして、丁寧に添削指導して頂いた、日本地下水開発(株)の秋山さんに感謝の意を表します。

 合格後、地質調査技士の資格はすぐに業務に貢献する結果となりました。県発注の地質調査業務を担当したのですが、調査技術者は地質調査技士(現場技術・管理部門)の資格を有する者とされていたのです。この時は、合格した喜びよりも、これで私も建設コンサルタントの一技術者として、第一歩を踏み出したような感じがしました。資格がものを言う世の中、たかが地質調査技士、されど地質調査技士を感じずにはいられませんでした。

 最後に、今後もThere is no royal road to learning.(学問に王道なし)ということで地道な努力は必要だと思います。また、日々の業務に対して真剣に取り組み、スキルアップできるよう励んでいきたいと思います。それこそが様々な資格へとつながっていると思います。


― 現場管理部門 ―
日本工営(株)   佐野 伸浩

佐野 伸浩

1.はじめに

 最初、本稿の執筆依頼があった時「何で私・・」と絶句してしまい、「もっとふさわしい人がいるでしょう!」の言葉も聞き入れてもらえず、編集委員の強引なお願いに屈してしまった私である。まぁ、今後受験する人の一助にでもなればと思い直し、はずかしながら筆を取った次第である。

2.受験理由

 今まで、地質調査技士というと、どうしても「オペレーターさんの資格」ということでなじみがなかったが、平成15年度から地質調査技士試験が「現場調査部門」と「現場技術・管理部門」の二部門と制度が変わり、加えて昨今の資格要件の重要性(あるクライアントは現場管理における資格要件に技術士か地質調査技士)の高まりを見聞きするにおよび、私も地質調査技士を受験しようと思い至った次第である。

3.受験対策

 恥をさらすようだが、実は私は平成15年度の「現場技術・管理部門」不合格であったのである。制度が変わって最初の年であったので、どんな問題がでるのかわからないのはみんな同じと安易に考え、事前講習にも出ず、過去問題もろくに目を通さず、さらに試験前日には、私の青春時代を謳歌したシンガーのコンサートで「はじけていた」のである。これでは試験も「はじける」わけで、後で周囲に聞いたところ、試験前日の夜はみなさん一夜漬けで過去問題に取 り組んでいたそうである・・・。
という、失敗から今年度は事前講習から受講し、基本的な事項の確認と出題傾向を把握してから、過去問題5年分を一通り解いてみて、間違った箇所を試験間近に数回チェックしました。また、経験を問う記述式問題の対策としては、事前に作成しておき、試験前日まで頭に入れておくことにつきると思います。

4.おわりに

 今年度、地質調査技士に合格できて、とりあえずホットしております。やはりどんな試験でも安易に考えていては痛い目に会うということを痛感しました。
 (特に一夜漬けの有効性には:決して試験前日にはコンサートなど行って「はじけて」はいけない。)
 最後に、試験にあたり、過去問題を揃えてくれたり、貴重なアドバイスを頂いた周囲の皆様に感謝致します。


― 土壌地下水汚染部門 ―
住鉱コンサルタント(株)   佐々木 孝雄

佐々木 孝雄

「そういえばあいつ、受かったそうだよ」
「へえ〜、昔は飲むとすぐ泣いていたけどなぁ・・・くそ〜っ!こんなにめちゃくちゃ忙しくて、毎日夜中まで残業やってたら試験勉強なんかできませんよ。それで落ちるとえらいさんにおまえは馬鹿だ、だから残業ばっかりやって仕事消化できないんだ、と嫌み言われて。一体どうすりゃいいんですか、エ〜ン」
「佐々木君、地質調査技士持ってなかったの?受けたら?」
「今更という感じで何となく気後れが・・・」
「なんで?試験なんか年は関係ないし、それに地質調査技士が一人増えると会社の評価もその分上がるし」
「そうですか、それじゃ・・・」
「今年から部門が増えましたがどれが一番簡単でしょうね?」
「やっぱり土壌地下水汚染部門じゃないの、今年できたばかりだから」
「なるほど」
「佐々木君、土壌地下水で受けるんだって?あの問題は地質屋じゃ無理だぞ。問題を作った人間が環境畑の人で地質の常識では歯が立たないそうだ」
「そんなぁ〜」
「もしもし、地質調査技士の受験講習まだ間に合いますか?」
「もう締め切りすぎましたけど・・・」
「じゃもうだめですか?」
「委員長に聞いてみましょうか?」
「お願いします。お願いします。」
「何か質問ありますか?いまのところは問題になりやすいからよく勉強しておくといいですね、はい君。」
「ここに地下水は個人の所有物とあるんですがほんとですか?」
「(またどうでもいいことを聞くやつだな、こいつ絶対落ちるぞ)そうです。井戸の中の水は個人のものです。」
「佐々木君!」
「お久しぶりです先生、面接ではお世話になりました。」
「そのことだけどね、君の合格はまちがい!取り消し!不合格!」
「え〜!それだけは勘弁してください、おねがいします〜あ?夢か、よく見るんだよな、この夢」
「もうだめです。またジャーミングしました。もういやです。会社やめて下駄屋にでもなります。下駄屋ならいい下駄作って欲しくて買いに来る人だけ相手してればいいですけど、地質調査は穴掘れないと発注者に怒られますし、下請けにもすまないですし、設計施工が遅れて関係者にも迷惑がかかるし、でも自分ではどうすることもできませんし、もういやです。」
「そう言うなよ、地質調査技士だろ。」
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