(株)ダイヤコンサルタント

五十嵐 勝

38.技術委員長就任にあたって

 地質調査事業量は、平成7 年度をピークに毎年減少する極めて厳しい環境の中で、東北地質調査業協会の技術委員会の委員長を引き受けることになりました。正直にいって「大変だなぁ」という一言につきます。

 私達(昭和26 年生である)の年代は、大学入学時、学内紛争と日本列島改造論が飛び交うある意味で活気あふれる時代でした。それが、卒業時にはオイルショックによる大不況のため、地質調査業の業界も大変な時期であり、就職がままならない時代でありました。どうにかこうにか入社したものの、その後は幸運にも景気浮揚のための公共事業の増加という拡大経済にのり、地質調査の事業量は、平成7 年度までは、確実な歩みを続けて参りました。

 しかしながら、その後は、公共事業縮少に伴い私達の年代は、給与体系の維持とリストラのはざまの中で各社事業量に合わせて職員のリストラを行い、かろうじて会社を持ちこたえさせている時代に突入してきております。

 まさに、私達の年代は波瀾万丈の時代を生き抜いている、「もののふ」の年代ではなかろうかと考えています。こうした厳しい時代に技術委員長を拝命したわけであります。とりわけ技術委員会は、長年にわたってがんばっている人から、初めての人までの極めて色とりどりの委員がそろっておりますので、物事に対して粘り強く、辛抱強く対応する能力が買われたものと自負しております。

 さて、地質調査業の技術は、今年から現場調査、現場技術・管理、土壌・地下水汚染部門に大別され、これまでの公共事業分野から民間の分野にも市場市場を開拓すべく一歩踏み出したところであります。試錐技術者のための試験である基本的スタンスは維持しつつ、発注者が求める技術者資格、市場にマッチした技術者資格という視点から、抜本的見直しがなされたものであります。

 当協会においても、この試験に対応すべく、講習会、若手セミナー、オペレーターセミナーを開催し、地域の技術力アップを目指して活動しております。私どもの活動は、会社が技術者の実績を正当に評価し、専門分野に特化した人材も必要であるが、工種をまたぐ経験技術者が重用される時代への移向を念頭に、どんな人や会社が尊敬されるべきかの問いかけを常に気にかけながら、「安ければよい」から「良いものを安く」への脱却をはかるための根気のいる活動であろうと思っております。今後ともご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
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